フィナンシャルタイムズさんに掲載されました。

27/12/2016

”Japan’s crackdown on tattoos sparks legal battle”

イギリスで発行されている日刊の経済紙である。
「フィナンシャル タイムズ」紙に、
タトゥー・刺青問題について取材して頂きました。

海外の視点では、
今回の問題を日本全体が抱える大きな社会問題の一つとして、
インバウンド強化を唱える日本で、
この様な問題がおこりうる実態に対して海外では違和感を感じている方が多い様です。

以下、要約になります。
有料コンテンツになりますので、
取材動画などは課金しないと見れませんが、
インタビュー映像などもございますので、
ご興味がある方は是非、ご覧ください。

掲載記事は以下から
有料コンテンツなので、課金しなければみれません。

”Japan’s crackdown on tattoos sparks legal battle”

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タトゥー摘発が法廷闘争に
――「芸術であっても犯罪ではない」との批判も――
(by レオ・ルイス)

 28歳彫り師、大阪府警、100年の歴史のある医師法を巻き込んで、憲法をめぐ
る画期的な闘いが始まった。憲法裁判の帰趨に、彫り師業界の存続がかかっている。
 この対決は、大阪府警が彫り師達を医師法で摘発したことに端を発した。免許
を持つ医師のみが「医業」に従事することができるとする医師法の制度は、19世
紀に遡る。これまで、入れ墨が医業に該当するかどうかを判断した裁判は行われ
ていなかった。
 これを自ら試すことになったのは大阪府警だ。2015年に多数の彫り師が突如摘
発され、対象者は罰金を支払って店を閉じた。まだ同様の摘発が及んでいない他
府県に移動した者もある。
 だが、彫り師の増田大輝さん(28歳)は、罰金の支払いに応じることなく、正
式裁判の道を選んだ。警察は憲法を無視して規制権限を不当に拡張している。こ
れは趣味ではなく刑法の問題だ、というのが増田さんの主張だ。
 「自分がこういう風に社会活動をするとは思ってもいなかった。でも、今回の
ケースが、タトゥーを入れている人とか好きな人かを問わず、いろんな人に目を
向けてもらって考えてもらうきっかけになればいいかなと思っているので。入れ
墨だけじゃなくいろんなところで問題がある。」と増田さんは言う。
 大阪地裁では、2017年1月30日の公判前整理手続で、増田さんの裁判の第1回公
判の期日が決まる予定だ。すでに多数の彫り師が摘発され職を追われており、彫
り師業を継続すればさらに多くの検挙者が出ることも予想される中、この裁判は
最高裁まで続くとみられる。
 増田さんの弁護団は、これまでに医師法が彫り師を処罰するために使われたこ
とはなかったとしている。京都大学で刑法を教える高山佳奈子教授によれば、入
れ墨は1907年に制定された刑法には規定されておらず、戦前、軽犯罪法の前身に
あたる法律によって犯罪とされていた。しかし、1948年にこの処罰規定は廃止さ
れた。
 日本では、入れ墨を嫌う風潮が一般人の間に長く存在していたが、裁判を支援
する「Save Tattooing(タトゥーを守れ)」運動が全国的に広がり、思いがけな
い支持を拡大した。いまや大学教授や弁護士、ジャーナリストにとどまらず、お
しゃれとしてタトゥーを愛好する日本人の若者達にも支援が広まっている。彫り
師の摘発は日本国憲法の保障する4つの人権を侵害していると考えているのだ。
 増田さんの弁護団長を務める弁護士の三上岳さんは、その中でも特に、表現の
自由を重視している。表現の自由は、4年前に第2次安倍内閣が誕生して以降、注
目を集めたいくつかの裁判の中心に位置する問題だ。
 三上弁護士によれば、憲法はほかにも、彫り師の職業選択の自由や、客の幸福
追求権を保障している。警察による摘発は、「法律なければ刑罰なし」の原則を
定める憲法31条に反する疑いがあるという。
 裁判所が警察の側に立てば、入れ墨業界の将来は危機に瀕することになる。三
上さんは言う。「もし彫り師達が入れ墨を彫るには医師免許が必要だということ
になると、今やっている彫り師は全員、タトゥーを彫れなくなります。だからこ
の裁判は、タトゥーの存続がかかっている大事な裁判だと考えています。タ
トゥーはただ単に模様を彫っているだけではなくて、その模様にいろんな思いが
込められていたり、彫られる側の人と彫り師との間の対話によってそれを一つの
形にするということで、すごく重要な表現が含まれている。彫り師の方もみんな
そういう意識でタトゥーを彫っています。だからまず、これを禁止されると表現
の自由が侵されてしまう。」
 タトゥーのある外国人観光客の増加、国内のタトゥー人気、2020年の東京オリ
ンピックを視野に入れれば、日本が入れ墨嫌いの伝統の再考を迫られる可能性も
あり、裁判闘争は緊張を強めている。
 日本では歴史的に、入れ墨が暴力団と結び付けて考えられたため、プールや温
泉、海水浴場ではしばしば、入れ墨のある客の利用が禁止されている。だが、こ
のような締め出しを将来にわたって維持することは困難だ、と考える人も少なく
ない。
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支援者の皆様には、今年一年大変お世話になり、
只々、感謝するばかりです。

来年はいよいよ裁判も始まります。
運営委員一同も、さらに意識を高めいく所存でありますので、
宜しくお願いします。

皆様におかれましては、
どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。

SAVE TATTOOING IN JAPAN

〝SAVE TATTOOING〟は、日本のタトゥー文化がアートの1つとして発展していくことを願い、全国のタトゥーファンと共に力を合わせてタトゥーカルチャーを応援するプロジェクトです。